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赤也@元気のブログにあったんですよね。
このさくらんぼのへた。
腐女子心をガッチリですよ!

なので、今日は赤幸。

タイトルいいの思いつかない。





「美味いっス!」
「そう? よかった」
「幸村部長はホント何でも出来るんスね!」

  籐の籠に山盛り盛られたアメリカンチェリー。
  赤也はピンク色のさくらんぼよりもこのアメリカンチェリーを好んで食べる。
  幸村の庭で採れたチェリーは赤也の好物だった。
  家庭で作ったチェリーなので多少形が歪だったり、虫や鳥に傷つけられた痕はあるものの、それは返せば無農薬の証明にもなる。
  一粒づつでは足りず、チェリーの山に手を突っ込み赤黒い粒を鷲掴んでは口に運ぶ。

「そんなに慌てなくてもまだあるし、もっと味わって欲しいな」

  別に気分を害したわけでもなく幸村は思ったことを言った。

「すんません、味わいます」

  赤也にとって幸村の言葉は絶対だ。
  好きな人の言葉に逆らえる人間がどこにいる。
  赤也は改めてキラキラと光るその赤黒い粒を口へ運んだ。
  薄い皮を破れば甘い果汁が口内に広がる。
  一緒に含んだへたが歯に当たりその感触で赤也は思いついた。
  種を出し、チェリーを運ぶ手を止める。
  何やら口の中でしきりに舌を動かしてる赤也の様子を幸村は微笑んで眺めた。

「よし!」

  しばらくすると赤也が微笑んでいる幸村に視線を合わせた。

「へたを口の中で結べたらキスが上手いって言いますよね?」

  そう言うと赤也はちゃんと結ばれたへたを舌の上に乗せ幸村に見せる。
  たぶんそれをしているのだろうと思って見ていた幸村は赤也の器用さをこんなところでも感じさせられた。
  後は学業にもその器用さが発揮されればな、そう幸村は思ったが口には出さない。

「で? 赤也はどうなの?」
「試してみます?」

  ベッドを背もたれに、クッションを抱いている幸村に赤也が顔を寄せる。

「時間が掛かり過ぎだよ」
「じゃぁもっと練習するっス」

  クスクスと笑う幸村に赤也は必死になる。
  いつもの幸村ならこんな時は特にいじわるなのに。

「いいよ、練習したら?」

  そう言って幸村は目を閉じた。
  いきなり実践。
  しかも初めてのキス。
  こんなチャンスはないと赤也はその焦がれて止まない美しい顔を眺め、赤く濡れる幸村のくちびるにそっと自分のそれを重ねた。
  練習とは言ったが、いきなり初めてのキスで貪るようなキスをしていいものか赤也は迷った。
  そりゃ、できるならしたいけど……。
  幸村の様子を窺ってみようとそっとくちびるを離すと、

「これだけ?」

と幸村が問う。
  それならばと赤也は思い描いていた幸村とのキスを現実のものに変えていった。
  離れては引き戻され、どちらのものとも分からない吐息とぞくぞくとする快感の中で幸村は赤也の口内に残るアメリカンチェリーの甘さを、赤也は幸村の冷めない口腔の熱を味わった。

「練習は毎日だよ」
「了解ッス」

…あまい。でも、もっと。

もっとあまくなる。




希蝶
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