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スキャナを繋いでちゃんとした絵が描きたいものじゃ。

今日は282。
私はどっちでもいいみたい。
28も82も馬場雅も雅馬場も好き。






眠り姫 

「まったく…」

  きっちりしてるんだか、してないんだか。

「やぎゅ、寝るんなら眼鏡外しんしゃい」

  読みかけの本が胸の上に乗っている。
  本を読みながら寝てしまうとは柳生らしくもない。
  そのリクライニングソファがそうさせるのか。
  確か、最上のお昼寝をあなたにだとか謳い文句があった商品じゃ。
  柳生までも寝かしつけてしまうソファ、侮れん。
  謳い文句も伊達じゃなか。

「やーぎゅ?」

  もう一度声を掛けても返事は安らかな寝息のみ。
  このままそっと寝かせておいてやりたい気もするが、無性に柳生の声が聞きたくなった。
  目が覚めればきっといつもの声で「仁王くん」そう呼んでくれる。
  その心地よさを感じたい。

「眠り姫を起こすのはキスと決まってるからの」

  そっと眼鏡に手をかける。
  さらり、と栗色の髪が流れた。
  閉じられた目蓋、長い睫毛が陰を落としている。

「ホンマ好みの顔じゃ、お前さんは」

  そっと眼鏡を外す。
  これでもかと至近で柳生の顔を眺めた。
  そのまま目元にキス。
  鼻の頭にキス。
  そして甘いくちびるに。
  ……。
  いかん、止まらん。
  じゃがこれ以上は寝込みを襲ってる野獣じゃ。
  俺はありったけの理性で柳生から離れた。
  濡れた柳生のくちびるをそっと指でぬぐう。

「……」

  その感触からか柳生が身じろいだ。

「…ん」

  うっすらと瞼を上げ、眠りの渕から浮上してくる柳生。
  琥珀の瞳を瞬かせる。

「…におうくん?」

  ああ、これじゃ。
  柳生に名を呼ばれるのがこんなにも俺を熱くさせる。

「おはようさんじゃ」
「あ、眠っていましたか」

  寝起きのいい柳生はすぐにソファから背を起こし俺を見た。
  視界が悪いんじゃろ、目を細めている。

「眼鏡、かけっぱなしじゃったから」
「ああ、すいません。取っていただいたんですね」

  そう言いながら取った眼鏡を掛けなおす。

「そのソファよっぽど寝心地がいいんじゃの」
「そうですね、こんな風に寝てしまうことなどないのですが。仁王くんもどうですか?」
「昼寝か? そうじゃな、今度試してみるかの」
「ではその時は私が起こして差し上げます。仁王くんのように」
「なんじゃ、バレとったのか」
「眠り姫にはキスですからね」

  そう言うと柳生が俺を引き寄せた。
  俺は柳生のひざに乗り上げてキスの続きを仕掛ける。
  ……眼鏡、邪魔じゃ。
  眼鏡はもう一度俺の手で外された。


希蝶

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