忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

馬場が生け花やったり彫金したり七宝焼きしたり
なんだか芸術してるね。
着物な馬場!
和服っていいよねー。
ネックレスの8に見えるのは柳生の8ですか!?
あ、馬場で8か?

で、柳生の誕生日ですね。
仁王といちゃいちゃして下さい!



  昼間些細な事で柳生と仁王は喧嘩をした。
  喧嘩というよりもその場の空気が悪くなった。
  それは本当に些細なことで、柳生が今読んでいるミステリー小説の結末を仁王が口にしたのだ。
  その小説は柳生が毎日少しづつ読み進め、今まさにクライマックスの謎解き場面に差し掛かっている。
  柳生の中で犯人の目星もつけそれをどう決着をつけるのか、ミステリーの醍醐味を味わう寸前だったのだ。
  仁王はもちろんわざとではない。
  すでに柳生は読破したものと思い話してしまったのだ。
  それは柳生もわかっている。
  仁王に「今読んでいる」と先に言えばよかっただけの話だから。
  それでもつい仁王に言ってしまった。
  もう口を聞きたくない、と。
  その柳生の言葉に仁王は「すまん」とただ一言告げ立ち去った。
  あんな悲しそうな仁王の表情を柳生は今まで一度も見たことはなかった。

  昼間の出来事を思い出しては柳生は「はぁ」とため息をつく。
  言葉とはこんなにも人を傷つける武器になるのだと改めて思い知った。

「私もまだ子供ですね。仁王くんにあんな顔をさせてしまって」

  今思えばたかが小説の結末。
  今までの仁王との関係を壊すほどのものでもないのに。

「後で悔いる、ですね。本当に」

  もう一度あの時間に戻れたら。
  そんなことを思っても時間が戻るわけでもなく。
  それでも思わずにいられない。
  柳生はまたひとつため息をついた。
  もう終わりなのか?
  こんな風になってしまうなんて。
  次に顔を合わせたらどんな風にすればいいのだろう。
  また一つため息が零れた。
  こんな気持ちのまま悶々と夜を過ごすのか。
  それなら一言もう気にしていないと、言い過ぎたと謝ってしまうか。
  どう考えても仁王との関係がこんな風に終わってしまうのは納得できない。
  やはり仁王にメールを送ろう、そう思った時だった。
  サイドテーブルに置いた携帯電話がメロディを奏でた。
  仁王からのメールを知らせるその着信音に柳生の心臓は跳ねた。
  緊張で震える手で携帯を操作し柳生はメールを読む。

『柳生、誕生日おめでとう。生まれて来てくれてありがとう』

  その文章に今が日付の変わった瞬間で自分の誕生日と言うことを知った。

「仁王くん…」

 十月十九日。
  柳生の誕生日。
  毎年、と言っても仁王と出会って付き合うようになってからだが、この瞬間に柳生はいつも仁王からの「誕生日おめでとう」を貰っていた。
  誰よりも早く言いたいからとメールで、電話で。
  毎年忘れずに伝えられる仁王からのその言葉が柳生は何より嬉しかった。
  また次の誕生日も仁王くんと一緒にいられますように。
  柳生の願いはただそれだけだった。
  それだけなのに。
  まだ文面は続くようだと柳生は画面をスクロールさせた。

『……昼間は悪かったの。おやすみ』

「仁王くん…」

  気が付いたら携帯を操作し柳生は仁王に電話をかけていた。
  コールが一回。
  緊張と早くなる鼓動。
  二回。
  三回。
  出てくれないのか、そう思った時コールは途切れた。

『柳生?』

「仁王くん…」

  柳生の声は掠れ震えている。
  電話の向こうのそんな柳生の様子に仁王は笑った。

『もう口をききたくなかったんじゃないのか?』

  いつもの仁王の口調でからかう様に言われて柳生の緊張はすんなりと解けた。

「それは言い過ぎました。仁王くんを傷つけてしまったこと、謝ります。」

  チクチクと心を痛めていた事を謝って柳生は漸くホッとした。

『いや、俺が悪かった。ホンマすまんかったの』

  電話の向こうの仁王の言葉にも安堵の色が混ざっている。

「仁王くん?」

『なんじゃ?』

「今年もメッセージ、ありがとうございます」

  何よりも嬉しい仁王からのメッセージ。

『のう、やーぎゅ』

  囁くように仁王が柳生の名を呼ぶ。

「なんですか?」

『俺は柳生に出会えて本当によかったと思っとる』

「仁王くん…」

『俺の気持ちをを受け入れてくれてありがとうな』

  同性である仁王からの告白を柳生は最初は戸惑った。
  それでも仁王の気持ちを時間をかけて柳生は受け入れた。

「私も同じ気持ちです。私は仁王くんが傍にいてくれるだけでいい」

  心からそう思う。
  この人を失っては生きていけない程に。

『もう喧嘩はこりごりじゃの』

「そうですね」

  クスクスと二人の間で笑いが漏れた。

『やーぎゅ、ちょっと出てこれるか?』

「今からですか?」

『実は柳生の家の前におるんじゃ』

  思いがけない仁王の言葉に柳生は慌てて部屋を出た。

「ちょっと待って下さい、今行きます」

  一体いつからいたのか。
  しんと静まった家の中をそっと移動し柳生は外へ出た。

「よ」

  携帯電話を持ったまま仁王は柳生に手を上げる。

「仁王くん」
「悪いな、こんな時間に」

  すでに零時を回った深夜の空気は澄み、仁王はひんやりとした空気を纏っていた。

「こんなに冷えてるじゃないですか、中に入りましょう」

  風邪でも引かれてはと柳生は仁王を家の中へと誘った。

「これぐらい大丈夫じゃ、心配しなさんな」
「ですが…」

  まだ家の中へと誘う柳生の手を仁王は握った。

「こうしてればあったかいから大丈夫ナリ」

  握られた手の中に何かがあることに柳生は気づいた。

「仁王くん、何ですか? これ」

  仁王がニヤリと笑う。

「プレゼントじゃ」

  手を離されて柳生は手の中に残ったプレゼントを見た。

「指輪?」
「柳生を想って作ったんじゃ」

  仁王は照れたようにその指輪を柳生の指にはめた。

「ありがとうございます」

  シンプルなデザインの指輪は柳生の指で月光を弾いた。

「こんな物は柳生を縛るみたいでどうかと想ったんじゃが…」

  仁王の言葉に柳生は指輪を見つめ答えた。

「仁王くんになら縛られてみたいですね」
「その言葉、後悔するんじゃなかよ?」
「もう後悔するようなことは言いませんよ」

M to H  happy birthday

PR
COMMENT
COMMENT FORM
TITLE

NAME

MAIL

URL

PASS
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
TRACKBACK
TRACKBACK ADDRESS
 
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新記事
最新CM
最新TB
バーコード
ブログ内検索
カウンター
OTHERS
Powered by 忍者ブログ
Templated by TABLE ENOCH