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ちょっと!
6月なのに!
なんですか!

昨日変な寝方したみたいで首が痛い。

さて今日は28です。
蒸し暑かったので。
そんな話。




  
  雨の日はのう。
  せっかくセットした髪も湿気でへたる。
  いつもはすんなりまとまる髪もまとまらん。
  こんな日は気分が悪い。
  じゃで雨の日は嫌いなんじゃが。

「柳生の髪はいつも綺麗じゃの」

  雨の日の湿気の影響もなくサラリと流れる柳生の髪。

「そんな言葉は女性に言うものでしょう?」

  雨。
  今日の練習は屋内での基礎。
  いつもの様に柳生と組んでストレッチをする。

「本当のことを言っただけじゃ、男も女も関係なか」

  お互いの身体を寄せる。
  密着する。
  ジャージ越しに柳生の体温を感じる。
  こんな蒸し暑い状態で他人の体温なんか不快なだけじゃが、柳生のは別じゃ。むしろもっと感じていたい。
  …俺の熱も柳生に伝わっているんじゃろか?
  柳生は不快に思っとらんじゃろか?

「ありがとうございます。でも今日は雨ですからね、いつものようにはいきませんでしたよ」

  何じゃ、柳生も苦労しとるのか。それでも苦労の度合いは違うと思うがの。

「そうは見えん、いつもと一緒じゃ」
「仁王くんもいつもと同じですよ、髪」

  さすがじゃの、柳生。わかっとったんか。
  俺の機嫌が悪い理由。

「…雨は嫌いですか?」
「そうじゃな」

  でもこうして柳生の体温を感じることができる雨の日なら悪くない。

「私は好きですよ、仁王くんとこうしてストレッチできますから」

  なんの躊躇いもなく紡がれる言葉。

「仁王くんの体温は心地いいんです」

  そんな言葉を吐いて後で後悔するんじゃなかよ。
  俺の気持ちを知ってもそう言えるかの?

「柳生」
「何ですか?」
「俺も同感じゃ」
「それはよかったです。やはり『嫌い』より『好き』の方が気分が違いますからね。成果にも差が出るでしょう」

  俺の想いとはかけ離れた返事に苦笑する。
  いつかこの想いを伝えんとな。

「やーぎゅ、ほれ手貸しんしゃい」

  俺の差し出した手に柳生の手が重なる。

「では続けましょう」

  この手をこのまま離したくない。ずっとじゃ。
  柳生を離したくない。


希蝶
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